中高生が携帯電話の出会い系サイトを使って、児童買春などの犯罪に巻き込まれるケースが後を絶たない。県警も11月から注意を促すパンフレットなどで啓発に力を入れる一方、民間でもサイトの書き込みに目を光らせている。誰もが、手軽に別人になりすまし、数回のやり取りで見も知らぬ異性に出会う。出会い系サイトの世界をのぞきつつ、それと向き合う人たちを探った。(楠田裕司)
■会員登録5分 あふれる誘い
「恋人探しを応援中」
週に1万8千組がメールのやり取りをしているという、携帯電話のある無料出会い系サイト。このサイトは、実際に異性と連絡が取れ、架空請求もないとされている。
会員登録をしてみた。手続きはまず、指定されたアドレスに空メールを送る。すぐ返信メールが届き、そこにあるアドレスに接続する。個人データを記入する画面となり、「性別」「年齢」「住んでいる地域」などを選択、さらに「自己PR」を書く欄もある。
これらの手続きをした後に正会員となり、サイトから「ID」と「パスワード」が送られ、これらを使うことでサイトを自由に使えるようになる。会員になるまではほんの5分ほどだった。
しかし、性別を偽っても会員になれるし、18歳未満は登録できないとなっているが、年齢確認もない。自己PRの内容もだれも確認はできず、全く違う人間を装うこともできてしまう。
「ユウジ」として、サイトをのぞいた。神奈川県の女性の書き込みは1日約80人。「みき」「七瀬」「いちご」……。一人ひとりの自己PRを見ていると、「18歳の女子高校生です。デートしてくれる人いませんか?」という書き込みを見つけた。
そのメッセージを書き込んだ「葉子」にメールを送ってみた。
「いつ、どこで会えますか?」。約3分後、葉子から返事がきた。
「明日。木曜日。ホテル代別3万円で会ってもらえますか? 私は身長158センチ。体形は普通です」
一方、女性会員にあてた男性の書き込みものぞいてみた。「お金ならいっぱいあるから、楽しく遊べる女の子いませんか?」(32歳会社員)「今日遊んでくれる人。ご飯くらいならおごれるよ」(24歳会社員)……。
誘いの言葉があふれていた。
■被害の大半、女子中高生 県警、パンフ配り啓発
出会い系サイトについて、県警は「危険性を理解せず、興味本位や小遣い稼ぎなどの軽い気持ちで利用し、被害に遭う中高生が一向に減らない」と悩みを打ち明ける。
携帯電話をもつ女子高生のうち、50人に1人の割合で出会い系サイトで異性に実際に会っている。男子高生は500人に1人とされ、いずれも増加傾向。こんな危機感から、少年育成課は携帯電話の危険性をまとめたパンフレットを4万部作った。11月からPTAや学校を通じて生徒に配り、啓発に力を入れる。
その一方、実際の捜査面でもサイバーパトロールを年々強化する。少年捜査課やサイバー犯罪対策センターが担当し、捜査員数人が日々、出会い系サイトで不審な書き込みを探し、書き込んだ人物の特定作業を続けている。
今年9月、「1カ月20万円で愛人契約をしよう」と書き込んでいた男性会社員(53)=静岡県富士市=が鎌倉署に逮捕された。高校2年生(17)にわいせつな行為をした容疑だが、県警がサイトの書き込みのやり取りを追跡したうえで、この2人を特定した。
出会い系サイトがきっかけとなって起きた事件の検挙件数は、06年は248件。02年は98件だったので、4年間で2・5倍に増えている。
被害者の大半は女子中高生だった。
■ボランティア監視活動一役
不審な書き込みに目を光らせている女性がいる。大井町に住む松浦真紀子さん(63)。全国少年警察ボランティア協会から委託されたサイバーボランティアだ。1日3時間、自宅パソコンからサイトにアクセスし、中高生からと思われる書き込みを探している。
疑わしい書き込みを見つけると、「児童買春などの被害に会う中高生が増えています」という警告メールを送る。1日約30通になるという。
ただ、松浦さんは「出会い系サイトはもう時代遅れ。ネット上には新しい出会いの場が次々と生まれ、児童買春などを助長している」と話す。
中でも心配なのが、「プロフ」と「モバゲー」というサイトだ。プロフは携帯電話から無料で作れる自己紹介サイト。年齢、居住地、顔写真などを公開し、ネット上で友達の輪を広げる。気が合う人がいれば、連絡を取り実際に会うこともできる。
一方、モバゲーは携帯電話向けの無料ゲームサイトだ。サイトで知り合ったゲームの対戦相手などと実際の出会いを求める登録者もいる。保土ケ谷署が9月、18歳未満の少女にみだらな行為をしたとして逮捕した厚木市の男(23)は、モバゲーを通じて女子高生(16)と知り合っていた。
携帯から有害サイトの閲覧を制限する「フィルタリング」の認知、活用も思うように進まない。
「大人が子どもをいかに守るか。子どもが安心して携帯を使える環境を整える責任は携帯を買った大人にあるのです」
松浦さんの言葉が胸に響いた。
◆出会い系サイトがきっかけになりやすい主な犯罪◆
児童買春・児童ポルノ法違反
2条2項1号、4条(児童買春)
相手が18歳未満と知りながら、現金などを渡したり、渡す約束をしたりしてみだらな行為をする
→5年以下の懲役または300万円以下の罰金
県青少年保護育成条例違反
19条1項、30条1項(みだらな行為)
相手が18歳未満と知りながら、みだらな行為をする
→2年以下の懲役または100万円以下の罰金
児童福祉法違反
34条1項6号、60条1項(淫行(いんこう)させる行為)
18歳未満の児童にみだらな行為をさせる
→10年以下の懲役または300万円以下の罰
asahi.com 2007年10月28日
http://mytown.asahi.com/kanagawa/news.php?k_id=15000150710290001
■会員登録5分 あふれる誘い
「恋人探しを応援中」
週に1万8千組がメールのやり取りをしているという、携帯電話のある無料出会い系サイト。このサイトは、実際に異性と連絡が取れ、架空請求もないとされている。
会員登録をしてみた。手続きはまず、指定されたアドレスに空メールを送る。すぐ返信メールが届き、そこにあるアドレスに接続する。個人データを記入する画面となり、「性別」「年齢」「住んでいる地域」などを選択、さらに「自己PR」を書く欄もある。
これらの手続きをした後に正会員となり、サイトから「ID」と「パスワード」が送られ、これらを使うことでサイトを自由に使えるようになる。会員になるまではほんの5分ほどだった。
しかし、性別を偽っても会員になれるし、18歳未満は登録できないとなっているが、年齢確認もない。自己PRの内容もだれも確認はできず、全く違う人間を装うこともできてしまう。
「ユウジ」として、サイトをのぞいた。神奈川県の女性の書き込みは1日約80人。「みき」「七瀬」「いちご」……。一人ひとりの自己PRを見ていると、「18歳の女子高校生です。デートしてくれる人いませんか?」という書き込みを見つけた。
そのメッセージを書き込んだ「葉子」にメールを送ってみた。
「いつ、どこで会えますか?」。約3分後、葉子から返事がきた。
「明日。木曜日。ホテル代別3万円で会ってもらえますか? 私は身長158センチ。体形は普通です」
一方、女性会員にあてた男性の書き込みものぞいてみた。「お金ならいっぱいあるから、楽しく遊べる女の子いませんか?」(32歳会社員)「今日遊んでくれる人。ご飯くらいならおごれるよ」(24歳会社員)……。
誘いの言葉があふれていた。
■被害の大半、女子中高生 県警、パンフ配り啓発
出会い系サイトについて、県警は「危険性を理解せず、興味本位や小遣い稼ぎなどの軽い気持ちで利用し、被害に遭う中高生が一向に減らない」と悩みを打ち明ける。
携帯電話をもつ女子高生のうち、50人に1人の割合で出会い系サイトで異性に実際に会っている。男子高生は500人に1人とされ、いずれも増加傾向。こんな危機感から、少年育成課は携帯電話の危険性をまとめたパンフレットを4万部作った。11月からPTAや学校を通じて生徒に配り、啓発に力を入れる。
その一方、実際の捜査面でもサイバーパトロールを年々強化する。少年捜査課やサイバー犯罪対策センターが担当し、捜査員数人が日々、出会い系サイトで不審な書き込みを探し、書き込んだ人物の特定作業を続けている。
今年9月、「1カ月20万円で愛人契約をしよう」と書き込んでいた男性会社員(53)=静岡県富士市=が鎌倉署に逮捕された。高校2年生(17)にわいせつな行為をした容疑だが、県警がサイトの書き込みのやり取りを追跡したうえで、この2人を特定した。
出会い系サイトがきっかけとなって起きた事件の検挙件数は、06年は248件。02年は98件だったので、4年間で2・5倍に増えている。
被害者の大半は女子中高生だった。
■ボランティア監視活動一役
不審な書き込みに目を光らせている女性がいる。大井町に住む松浦真紀子さん(63)。全国少年警察ボランティア協会から委託されたサイバーボランティアだ。1日3時間、自宅パソコンからサイトにアクセスし、中高生からと思われる書き込みを探している。
疑わしい書き込みを見つけると、「児童買春などの被害に会う中高生が増えています」という警告メールを送る。1日約30通になるという。
ただ、松浦さんは「出会い系サイトはもう時代遅れ。ネット上には新しい出会いの場が次々と生まれ、児童買春などを助長している」と話す。
中でも心配なのが、「プロフ」と「モバゲー」というサイトだ。プロフは携帯電話から無料で作れる自己紹介サイト。年齢、居住地、顔写真などを公開し、ネット上で友達の輪を広げる。気が合う人がいれば、連絡を取り実際に会うこともできる。
一方、モバゲーは携帯電話向けの無料ゲームサイトだ。サイトで知り合ったゲームの対戦相手などと実際の出会いを求める登録者もいる。保土ケ谷署が9月、18歳未満の少女にみだらな行為をしたとして逮捕した厚木市の男(23)は、モバゲーを通じて女子高生(16)と知り合っていた。
携帯から有害サイトの閲覧を制限する「フィルタリング」の認知、活用も思うように進まない。
「大人が子どもをいかに守るか。子どもが安心して携帯を使える環境を整える責任は携帯を買った大人にあるのです」
松浦さんの言葉が胸に響いた。
◆出会い系サイトがきっかけになりやすい主な犯罪◆
児童買春・児童ポルノ法違反
2条2項1号、4条(児童買春)
相手が18歳未満と知りながら、現金などを渡したり、渡す約束をしたりしてみだらな行為をする
→5年以下の懲役または300万円以下の罰金
県青少年保護育成条例違反
19条1項、30条1項(みだらな行為)
相手が18歳未満と知りながら、みだらな行為をする
→2年以下の懲役または100万円以下の罰金
児童福祉法違反
34条1項6号、60条1項(淫行(いんこう)させる行為)
18歳未満の児童にみだらな行為をさせる
→10年以下の懲役または300万円以下の罰
asahi.com 2007年10月28日
http://mytown.asahi.com/kanagawa/news.php?k_id=15000150710290001